見せてあげたい 奈良県生駒市・澤山洋子(主婦・72歳)
見せてあげたい 奈良県生駒市・澤山洋子(主婦・72歳)
今秋、小雨降る中、両親の遺影を胸に、夫の運転する車で滋賀の永源寺に紅葉狩りに出掛けました。愛知川に架かる橋を渡って総門をくぐると、頭上に赤く色付いた木々のトンネルが続きます。小雨がやみ、山上の霧がすーっと掃き消されると、まばゆいばかりの太陽が顔を出し、紅葉が一段と美しく輝いて私たちを迎えてくれました。
30年前、母がリューマチの治療のために、この近くの病院に入院しました。当時私も勤めていましたので、月に2回見舞いに来るのがやっとでした。春は花見に、秋は紅葉狩りに何回か誘いましたが、実現しませんでした。母は、関節や筋肉にひどい痛みがあり、関節が変形していたので、車椅子に頼らなければなりませんでした。天候の変動には敏感で、晴れていても、下り坂の兆しがある前には、痛みがひどくなりました。
母は戦後、私を頭に4人の子供を連れて言葉では言い尽くせない苦労をし、裸一貫で中国から引き揚げてきました。2年後、シベリア抑留から帰国した父と共に、貧困の中、私たちを育てました。これから私たちが親孝行をしたいと思っていた矢先の発病でした。母の唯一の楽しみは、心のよりどころとして句や歌を作ることでした。
続きはこちら・・・
関連記事